さようなら、ふるさと銀河線 1

北海道唯一の第3セクター鉄道ふるさと銀河線が、この4月20日、95年の歴史に
幕を下ろしました。

沿線の過疎化・少子化、自動車の普及、自治体の財政悪化など、いかんともしがたい
事情があるにしろ、どこか、やりきれない想いを抱える人も多いと思います。

僕はこれまでに一度もふるさと銀河線には乗ったことはありませんでした。
しかし、もうこれを逃したら、二度と銀河線に乗ることができないと思うと、どうしても乗って
おかなければいけない気がして、列車運行最終日の4月20日、最初で最後のふるさと銀河線に
乗車してきました。


この列車運行最終日には、お別れ列車として、池田-北見間を臨時列車が一往復します。
置戸(おけと)まで車で行って、置戸から北見まで普通列車に乗り、北見からそのお別れ列車に
乗って置戸まで戻ってこようというプランを立てました。

置戸を出る普通列車は10時38分発。僕の住む旭川から置戸までは約2時間半くらいかかるので、
朝の7時半すぎに、家を出ました。

国道39号線を東へと向かいます。見事な柱状摂理を横目に層雲峡を通り抜け、、上川地方と
網走地方を隔てる石北峠に入ります。「まだ雪があるのでは?」と心配していたのですが、
さすがに4月も下旬に入ると、路面残る雪は全くなく、安心して運転することができました。

石北峠を越えると、「北見市」のカントリーサインが目に入りました。ああ、そうか留辺蘂町は
もうなくなっちゃったんだ、とここでも一抹の寂しさを感じてしまいます。



石北峠を下っているときに、エゾシカを発見!道東を旅すると、ほぼ確実に目にするエゾシカ
ですが、やっぱり野生動物との遭遇は嬉しい。未だに車を停めてカメラを向けてしまいます。
この日は行きと帰り合計で、41匹のエゾシカを目撃しました。

温根湯温泉から国道39号線を離れ、温根湯峠を越えて、置戸町に入ります。
置戸町は町の面積の8割を森林が占める、山間の小さな町。豊富な森林資源を活かした、
木工芸が盛んです。

市街地の中心に位置する置戸駅は、まだ建てられたばかりのような、新しく立派な建物。
コミュニティーホールとしても利用されているそうです。これだけ立派な駅が、もう駅としての
機能を失ってしまうのはなんとももったいない。

駅舎内では、銀河線の記念グッズが販売され、銀河線の廃止を惜しむ、地元の方や
鉄道ファンが買い求めていました。
窓口で北見までの切符を購入します。一人770円です。



立派な駅舎とは対照的な小さなホームに、1両編成の普通列車が停まっています。
グリーンのラインは高原鉄道を、ブルーのラインは銀河を、屋根のオレンジ色は
ふるさとの暖かさをイメージしているそうです。

ホームに響くディーゼルエンジンの音も、何故かもの悲しげに聞こえます。



背景に無数の星が輝く銀河をあしらったヘッドマーク。7つの星は、沿線の7市町を
表しています。上部のマークは社章で、車体と同じく高原・銀河をイメージしたカラーに、
ちほく高原鉄道の「C」、RAILWAYの「R」、そして7市町の光がデザインされています。

出発時刻が近づいたので、車内に乗り込むことにしました。

対座式のクロスシートの車両もあるようですが、ここで乗り込んだ車両の座席は
都市圏の通勤電車や地下鉄のようなロングシート。今ひとつ雰囲気には欠けます。



車両最前部の窓からの風景。真正面の車窓から景色を楽しむことができるのも
ローカル線ならでは。

定刻になり、列車はゆっくりとホームを離れました。ガタンゴトンとリズムよくレールの
音を響かせて、力強く列車は進んでいきます。

心地よい揺れ、流れる車窓の風景、レールの音。普段鉄道に乗る機会がない僕にとっては
新鮮な体験です。しかし、明日になれば、これは全て過去のものになってしまうんだと思うと、
なんだかしんみりしてしまいます。

沿線には、ふるさと銀河線の廃止を惜しむ多くの人が、列車に向かって手を振っています。


北見に近づくにつれ、車窓には徐々に住宅が増えていきます。
山間の小さな町、置戸から来ると、人口10万都市、北見はビルの立ち並ぶ大都会です。



JRと共用のホームに到着です。ローカルな田園地帯を走ってきた1両編成の列車には、
この大きな駅はどこか居心地が悪そう、と思うのは僕だけかな?

列車を降り、ここでいったん改札を出ました。
お別れ列車の発車までには時間があるので、ここで腹ごしらえです。
せっかくの鉄道の旅なので、食事はやっぱり駅弁といきたいところ。

駅の待合室前に、駅弁売り場があり、数種類の駅弁が売られています。



いくつかある駅弁のなかから、パッケージが立派だった「ほたて弁当」と「北の菜時季」を
選びました。どちらも1050円です。

ホタテのお弁当といえば、煮付けたものをイメージしていたのですが、
北見のほたて弁当には、ホタテのフライが3つ乗っています。さすがに駅弁ですから
サックリとした食感は望めませんが、甘いタレとうまみたっぷりのホタテの
組み合わせが、しみじみとした旨さです。

「北の菜時季」のほうは、バラエティに富んだ具が嬉しい。いろんなものを
ちょっとづつ食べたいってひとにはいいかも。


ホームのほうに目をやると、銀河鉄道999の絵柄がデザインされた、3両編成の
お別れ列車が入線してきました。

▼「さようならふるさと銀河線 その2」に続く

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【関連サイト】
ふるさと銀河線公式ホームページ


   2006年04月21日 | 北海道行楽記

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その日、降っていた雨は惜別の涙だったのか――。 夜の帳に包まれた北海道東部。21時30分長い警笛を残して最後の、最後の列車が二度と戻ることのない道へと飛び立っ... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年04月29日 23:54


 コメント

最終日!
テレビで細切れの映像を見ただけだったので、
雄介さんの体験記を楽しみにしています。

置戸駅は駅舎がきれいで立派ですよね、
ホームから見る線路のまっすぐに続くのが印象的でした。

北見のホタテ弁当は、駅弁の名品だそうです!
私は食べそこねてしまったので、
次の機会を狙っています(*^_^*)

続きも見に来ますね。

投稿者 はなのはね : 2006年04月21日 20:20

こんにちは、はなのはねさん。

2日たった今でも、なんだか寂しさが胸に残っているような感じがします。あの情景を言葉ではうまく表現できないのですが、一生忘れられない思い出になりました。ありがとう銀河線!

ホタテ弁当は結構有名なんですかね?今回は駅の待合室で食べたのですが、次は是非列車の中で食べて、旅情を感じてみたいです。

投稿者 雄介 : 2006年04月22日 11:12

「ほたて丼」は、ある旅行本で
“駅弁の達人・入江織美さんが選んだ北海道の駅弁ベスト10”
第4位に入っていました!
それとなく選んでしまうなんて、センスがいいです♪
食べたいなぁ(>_<)

投稿者 はなのはね : 2006年04月23日 10:00

駅弁の達人!素晴らしい称号ですね。そんな人がいるんだー。

ほたて丼が4位ってことは、あとの上位3つが何か気になりますねえ。やっぱり森のいかめしは入っているのでしょうか?

僕はあまり鉄道の旅をすることがないので、駅弁を口にする
機会も少ないのですが、いつか「日本縦断駅弁食べまくりの旅」、
なんてやってみたいなぁ。

投稿者 雄介 : 2006年04月23日 11:39

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